北と日記

大学院生の多趣味奮闘日記

小至仏山へ至る道 霧と登山

 霧が立ち込める中、カメラを構えた。目の前の景色はよく見えなくなっていた。冷たい風が頬を撫でた。眼下に、山肌を這う雲の重たい動きが見える。午後からの天気予報は雨。急いでシャッターを押し、写真を取る間じっと横で待ってくれていた友だちに声をかける。登山道の蛇紋岩は滑りやすくなっていて、移動に合わせて重心を乗せて慎重に進む。胸に提げたカメラケースが鈍く揺れた。背後にはもと来た山頂があり、まだ大勢の人がそこにいるはずだ。だんだんと空が暗く、湿っぽくなってきた。太陽はとっくに隠れてしまっていた。


In the fog
Canon 5Dmark4, ZEISS Apo sonnar T*2/135 ZE


 至仏山は、しぶつざん、と読む。尾瀬ヶ原の南西に位置し、燧ヶ岳とともに尾瀬の景観をつくる。高山植物の宝庫である。見た目はなだらかな斜面が印象的な山。森林限界が低いため、山の上から半分は露出している。登山者は、標高差600 m以上を直登して山頂を目指す。

 この山を最初に登った時、残念ながら天気は午後から雨だった。しかし、この山行が、本格的に登山を始めるきっかけになった。尾瀬はもう一度行きたい。

 小至仏山を越えると、やがてオヤマ沢田代という小さな高層湿原に侵入する。展望が一気に開け、湿原の羨望が視界に入り込んできた。見頃が過ぎた湿原植物の合間に小さな池塘が幾つも見えた。ちょうど雨が強く激しくなって、バッグからカメラを取り出すことは叶わなかった。木道が続く向こう側に、オオシラビソが鬱蒼と茂る樹林帯が見え、登山者たちはその中に入っていった。

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