北と日記

大学院生の多趣味奮闘日記

シャッター速度を勘違い

シャッター速度とは


 カメラの基本知識として。シャッターボタンを押すことで、カメラの内部にある撮像素子の表面に光が届き、その瞬間が写真として現像される。光量を調節することで色々なことができるが、これを制御するのが絞りであり、シャッター速度である。或いは、光量の調整が難しいのならば、そもそも撮像素子が光に反応する感度(ISO感度)自体を上げてやるとか。

 これら3つの中で、シャッター速度は、被写体ブレに大きく関係する。下記で紹介するように、ブレを利用した様々な撮影方法がある。

 被写体ブレを抑えるようにシャッター速度を調節してみる。すると、時を止めた写真が現像できる。こいつが活躍する場面は、スポーツ等のワンシーン、滝の流水、鳥の飛行等など。こうした場合、シャッター速度はなるべく小さい数値(短い時間)に設定する。1/250秒で撮影した滝は微妙に流れの勢いが残っているけど、現技術の臨界点である1/8000秒の世界はさながらスタープラチナ・ザ・ワールドである。

 逆に、あえて被写体ブレを利用する撮影方法もある。例えば、夜間、カメラを車道に向けて長時間露光すると、車のランプが軌跡として現像される。流星の写真、星の日周運動、海岸での波の撮影等など。こういった場合は、シャッター速度はなるべく大きい数値(長い時間)に設定する。詳しい解説はメーカーのホームページにあるので参考にされたし。

【キヤノン公式】スポーツや夜景を撮るなら要チェック!シャッタースピードって何? |カメラ初心者教室


フォーカルプレーンシャッター


 さて、下に示した図1は、当初自分が想像していたカメラのシャッター部分の簡略図である。ボタンを押すと、撮像素子の表面をシャッターの幕が上下し、一瞬だけ撮像素子に光を当てさせるという仕組みだ。そして、シャッター速度というからには、当用語はシャッターの幕が動く速度 v のことを指しているだとばかり思っていた。

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図1. シャッターの動作とシャッターの幕が動く速度v

 しかし、この図1は誤りだった。

 先ずはシャッター機構の違いから。現在のレンズ交換式の一眼カメラ(レフだけでない)の多くは、フォーカルプレーンシャッターを採用している(図2)。この方式では、シャッター幕は2枚存在する。シャッターボタンを押すと先に反応する先幕と、時間間隔を開けて先幕を追いかける後幕だ。後幕があることで、シャッター幕を上下に動す必要はなくなる。つまり、図1のような機構がある程度の速さの限界まで到達すると、往復にかかる時間だけ越えられない壁がある分、フォーカルプレーン式ではその制約がない。

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図2. フォーカルプレーンシャッターの仕組み

 長時間露光の場合、図2にように、先幕が下りてから十分な時間間隔をとり、後幕が下りてくる。しかしある程度シャッター速度を早めると、シャッターの幕が動く速度が追いつかなくなり、図3に示すように、2つの幕は間隔を開けて同時に動くようになる。この時の、先幕と後幕に開いた空間をスリットと呼び、高速シャッターの場合は撮影素子表面をスリットが移動していくように見える(スリット走行)。高速シャッターで動体を撮影すると微妙に歪みが生じてしまうのは、このように、撮影素子全面が同時刻に露光されるわけではないからだ。

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図3. 高速シャッター時における先幕と後幕の移動

シャッター速度の計算式


 シャッターの幕が動く速度を v 、スリットの長さを l とおくと、スリット走行時のシャッター速度 V は次の式(1)から求められる。

\begin{align} V =\frac{l}{v}\tag{1} \end{align}

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図4. スリット走行時と高速シャッター速度

 この計算式から導かれるスリット走行時のシャッター速度は、つまり、先幕と後幕の時間間隔である。速度速度というが、単位は時間であり、要は露光時間のことだ。ややこしい。

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